V11 純正ECUセッティング変更への道 その4 純正ECUの燃料/点火制御
とうもこんばんは。
結局GWは別宅でひとりぼんやりと過ごしていました。
ご多分にもれずオンライン帰省なんてのもやりましたが、まあ、それなりに面白かったですね。
ただ、通話を切った瞬間、我に返って、はぁって感じでしたw
それにしてもニュースを見ていると今回の件、改めてエライことですね。
飲食、観光・宿泊業が直撃状態ですが、百貨店、劇場なんかも同様。
そして鉄道、バス、タクシー、航空会社なんかの旅客運輸の業界もかなり厳しいみたいですね。
このあたりの業種は毎日移動する人がいなければキャッシュが入ってこない訳で、事業構造的に致命的な気がします。
次に影響がでるのが製造業でしょう。
1月の中国を皮切りに世界中で工場が止まってましたからね。
半導体なんか製造リードタイム4カ月とか6カ月とか普通なので、1月に作るつもりだったウエハを作っていなければ7月とか8月にLSIなんかできない訳です。
そうするとそれを使う製品の組立ができません。
厳しいよね~。
IT系の会社の人の中には”在宅勤務が加速されてある意味チャンスだ”的なことを言う人もいますが、それができる業種ばかりじゃないよなーというのも強く感じました。
いくらなんでも在宅勤務じゃバイクや車の生産なんて絶対無理ってこと位は理解しているとは思うけど…
これは冬のボーナスがゼロかもしれないなぁ、とか、来年は税金上がるのかねぇ?とか考えてみたりしていたGWでした。
ここ数日は新規の感染者数が低めに出ているようなので、このまま収束してくれることを祈るばかりです。
都道府県別に自粛解除のモードが変わってきそうなのが気になりますが、もう少しということで乗り切るしかないですかね。
こんな感じで今年のGWはそれなり時間がありましたので、V11の純正ECUのデータを眺めていました。
実際、今は少しづつデータ書き換えて様子を見始めています。
これからボチボチトライしていくにあたって、純正ECUの中身をまとめておきます。
以下、TunerProで開いたbinファイルの内容を確認した結果と一部推測含めた現状の理解です。
■IAW15RCの基本機能
燃料噴射時間と点火時期の制御が基本の機能です。当たり前ですけど。
制御は一般的にα-Nと呼ばれる方式で、スロットル開度(α)-回転数(N)を軸としたマップにインジェクターの噴射時間や点火時期を設定してあります。
運転時は、その値を読み出すことでインジェクターのON/OFFや点火回路を制御します。
その他はO2センサの入力とか吸気温度、エンジン温度、気圧の測定と測定結果による補正の機能ですね。
これらは主に燃料噴射時間の補正に使われています。
■燃料噴射制御
燃料噴射時間は基本の噴射時間に各種補正を加味し決定しています。
多分こんな↓感じになっています。
1.燃料噴射の基本設定
スロットル開度-エンジン回転数の2次元マップに基本の噴射時間が書き込まれています。
ちなみにマップはスロット開度16分割、エンジン回転数16分割の16x16。
RapidBikeと比べるとスロットル開度の分割は細かくて回転数は粗い感じですね。
そして左右のシリンダーそれぞれ独立の設定とすることが可能です。
ただし、マップは左シリンダー用のマップと右シリンダー用のオフセットマップの2つ。
右シリンダーの噴射時間は左シンダーのマップからのオフセットで決めているみたい。
2.燃料噴射時間の補正
下記の補正機能があります。
(1)Acceleration Enrichiment Map
加速補正です。
燃料マップと同じスロットル開度-エンジン回転数のマップに増量値が設定されている。
(2)Airtemperature trim left / Air temperature trim right
吸気温度補正で左右のシリンダーで各々設定可能。
(3)Engine temperature Map
エンジン温度補正。
(4)Barometric Correction Map
気圧補正。
(5)Lambda Control
O2センサのクローズドループ制御のON/OFF設定で、ワタシのV11では既にOFFにしてあります。
クローズドループ制御が悪いわけではないと思いますが、このECUでは目標の空燃比が設定できないのが気に入りませんw
(6)Start Enrichment
始動直後の燃料増量補正です。
エンジン温度-始動後のエンジン回転回数のマップで増量値を決めています。
エンジン回転”回”数というのがわかりにくいですね。
設定値が0revs~3984revsまでの16分割になっています。
このことからエンジン始動後4000回ほどクランクが回る間、増量補正が有効になっているのかな、と理解しています。
アイドリングを1000rpmとすると4分くらい増量補正していることになります。
ちなみに実際に乗りながらAF計を見ていると確かにこんな制御になっている感じはしますね。
(7)COTrim
低回転/低開度で燃料を絞る機能のようです。
こちらのみEEPROMの中の設定項目です。
事前の情報ではキャタライザ無モデル用のECU(IAW15M)ではON、有り用のIAW15RCはこの機能はOFFという情報があったのですが、ワタシのV11はこの機能がONになっていました。
設定としてはON/OFFと補正量の2つがあるのですが、どの回転数でどの程度補正が掛かるかなどの詳細は不明。
こちらもOFFにしています。
■点火時期制御
点火時期は燃料噴射時間ほど複雑な制御にはなっていません。
Igunition Map、Ignition Idle Mapの2種類の設定があります。
Ignition Mapは燃料マップと同じスロットル開度-エンジン回転数のマップに点火時期が書き込まれています。
Ignition Idle Mapはよくわかりません。何からの形でアイドリングを検出してるんでしょうか?
もうちょっと調査が必要です。
*********************************
ECUの中身が触れるようになったわけですが、その最大の目的は点火時期の最適化です。
ただし点火時期については何を指標にどう設定してたらよいのか皆目見当がつきません。
ノウハウゼロなんですw
よってひとまず燃料噴射の設定についてサブコンでは触れない項目からいじってみようと思っています。
具体的には吸気温度、エンジン温度、気圧の3つの補正マップ。
これまでの経験でこのECUは
・標高が上がって、気圧が下がると空燃比が濃くなる
・気温、油温(エンジン温度)が上がると空燃比が薄くなる
傾向があると感じています。
そこで、それぞれの補正がどうなっているか、データを見てみると…
色々と???な感じでした。
まずは吸気温度補正。

縦軸を補正量としましたが、単位はたぶん%。これはエンジン温度、気圧補正も同様と思います。
気温が低い時は空気の密度が上がり、同じ容積の中の酸素分子の量が増える、気温が上がるとその逆で燃料を薄くする必要がある・・・
あってる?
それにしても、なぜ左右のシリンダーで補正量が違うのでしょうか…
そもそもGuzziの縦置きVツインで左右のシリンダーの燃調を変える必要あるのかなぁ…?
直4なんかだと外側の1,4番シリンダーと内側の2,3番シリンダーでキャブセッティングが違うってことも聞きますけどね。
お次がエンジン温度補正マップ。

冷えているときは冷間始動の状態を想定していると思えばいいんでしょうか?
前から疑問だったんですが、なぜチョークが装備されているのでしょうね…
この辺を上手く設定すればチョークいらないと思うんだけどな。
それから高温側って何(どんな効果)を狙って、どういう制御すればいいでしょうかね?
最後が気圧補正。

これをみてびっくり。
0mbarまで補正量が設定してあるじゃないですか。
GuzziなのかMarelliなのかわかりませんが、担当者は月面ででも走らせるつもりだったのでしょうか?
0mbarじゃ酸素もゼロだろう…
日本国内だとたぶん2400m位までの標高の気圧に対応していればいい気がします…
率直に言って、まあー適当だなーというのが感想ですね。
なんか理屈に従った設定がされてる印象じゃないですね…
試作車でちょと適当にいじってこんなもんか、って感じで決めた設定に見えちゃうんだけど…
素人がこんなこと言ったら怒られるかな…
例えば東名高速で静岡に向かって走って、富士山スカイラインを一気に登って下る、帰路は国道1号線の渋滞にハマってエンジンアツアツなんてツーリングでもアイドリングの空燃比がバッチリ安定しているとか、そんな感じにできなかな、と。
もちろん設計の古い空冷エンジンなんで限界はあるでしょうが…
少なくとも、今の設定を見る限りではもう少し追い込めそうな気がします…
素人がこんなこと言ったら怒られ…
まあ、とにかくやってみますかね。
20年前のGuzziかMarelliの担当者より良い仕事できる気がするんだよね…
素人がこんなこと言ったら…
とりあえずこんな感じということで。

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結局GWは別宅でひとりぼんやりと過ごしていました。
ご多分にもれずオンライン帰省なんてのもやりましたが、まあ、それなりに面白かったですね。
ただ、通話を切った瞬間、我に返って、はぁって感じでしたw
それにしてもニュースを見ていると今回の件、改めてエライことですね。
飲食、観光・宿泊業が直撃状態ですが、百貨店、劇場なんかも同様。
そして鉄道、バス、タクシー、航空会社なんかの旅客運輸の業界もかなり厳しいみたいですね。
このあたりの業種は毎日移動する人がいなければキャッシュが入ってこない訳で、事業構造的に致命的な気がします。
次に影響がでるのが製造業でしょう。
1月の中国を皮切りに世界中で工場が止まってましたからね。
半導体なんか製造リードタイム4カ月とか6カ月とか普通なので、1月に作るつもりだったウエハを作っていなければ7月とか8月にLSIなんかできない訳です。
そうするとそれを使う製品の組立ができません。
厳しいよね~。
IT系の会社の人の中には”在宅勤務が加速されてある意味チャンスだ”的なことを言う人もいますが、それができる業種ばかりじゃないよなーというのも強く感じました。
いくらなんでも在宅勤務じゃバイクや車の生産なんて絶対無理ってこと位は理解しているとは思うけど…
これは冬のボーナスがゼロかもしれないなぁ、とか、来年は税金上がるのかねぇ?とか考えてみたりしていたGWでした。
ここ数日は新規の感染者数が低めに出ているようなので、このまま収束してくれることを祈るばかりです。
都道府県別に自粛解除のモードが変わってきそうなのが気になりますが、もう少しということで乗り切るしかないですかね。
こんな感じで今年のGWはそれなり時間がありましたので、V11の純正ECUのデータを眺めていました。
実際、今は少しづつデータ書き換えて様子を見始めています。
これからボチボチトライしていくにあたって、純正ECUの中身をまとめておきます。
以下、TunerProで開いたbinファイルの内容を確認した結果と一部推測含めた現状の理解です。
■IAW15RCの基本機能
燃料噴射時間と点火時期の制御が基本の機能です。当たり前ですけど。
制御は一般的にα-Nと呼ばれる方式で、スロットル開度(α)-回転数(N)を軸としたマップにインジェクターの噴射時間や点火時期を設定してあります。
運転時は、その値を読み出すことでインジェクターのON/OFFや点火回路を制御します。
その他はO2センサの入力とか吸気温度、エンジン温度、気圧の測定と測定結果による補正の機能ですね。
これらは主に燃料噴射時間の補正に使われています。
■燃料噴射制御
燃料噴射時間は基本の噴射時間に各種補正を加味し決定しています。
多分こんな↓感じになっています。
1.燃料噴射の基本設定
スロットル開度-エンジン回転数の2次元マップに基本の噴射時間が書き込まれています。
ちなみにマップはスロット開度16分割、エンジン回転数16分割の16x16。
RapidBikeと比べるとスロットル開度の分割は細かくて回転数は粗い感じですね。
そして左右のシリンダーそれぞれ独立の設定とすることが可能です。
ただし、マップは左シリンダー用のマップと右シリンダー用のオフセットマップの2つ。
右シリンダーの噴射時間は左シンダーのマップからのオフセットで決めているみたい。
2.燃料噴射時間の補正
下記の補正機能があります。
(1)Acceleration Enrichiment Map
加速補正です。
燃料マップと同じスロットル開度-エンジン回転数のマップに増量値が設定されている。
(2)Airtemperature trim left / Air temperature trim right
吸気温度補正で左右のシリンダーで各々設定可能。
(3)Engine temperature Map
エンジン温度補正。
(4)Barometric Correction Map
気圧補正。
(5)Lambda Control
O2センサのクローズドループ制御のON/OFF設定で、ワタシのV11では既にOFFにしてあります。
クローズドループ制御が悪いわけではないと思いますが、このECUでは目標の空燃比が設定できないのが気に入りませんw
(6)Start Enrichment
始動直後の燃料増量補正です。
エンジン温度-始動後のエンジン回転回数のマップで増量値を決めています。
エンジン回転”回”数というのがわかりにくいですね。
設定値が0revs~3984revsまでの16分割になっています。
このことからエンジン始動後4000回ほどクランクが回る間、増量補正が有効になっているのかな、と理解しています。
アイドリングを1000rpmとすると4分くらい増量補正していることになります。
ちなみに実際に乗りながらAF計を見ていると確かにこんな制御になっている感じはしますね。
(7)COTrim
低回転/低開度で燃料を絞る機能のようです。
こちらのみEEPROMの中の設定項目です。
事前の情報ではキャタライザ無モデル用のECU(IAW15M)ではON、有り用のIAW15RCはこの機能はOFFという情報があったのですが、ワタシのV11はこの機能がONになっていました。
設定としてはON/OFFと補正量の2つがあるのですが、どの回転数でどの程度補正が掛かるかなどの詳細は不明。
こちらもOFFにしています。
■点火時期制御
点火時期は燃料噴射時間ほど複雑な制御にはなっていません。
Igunition Map、Ignition Idle Mapの2種類の設定があります。
Ignition Mapは燃料マップと同じスロットル開度-エンジン回転数のマップに点火時期が書き込まれています。
Ignition Idle Mapはよくわかりません。何からの形でアイドリングを検出してるんでしょうか?
もうちょっと調査が必要です。
*********************************
ECUの中身が触れるようになったわけですが、その最大の目的は点火時期の最適化です。
ただし点火時期については何を指標にどう設定してたらよいのか皆目見当がつきません。
ノウハウゼロなんですw
よってひとまず燃料噴射の設定についてサブコンでは触れない項目からいじってみようと思っています。
具体的には吸気温度、エンジン温度、気圧の3つの補正マップ。
これまでの経験でこのECUは
・標高が上がって、気圧が下がると空燃比が濃くなる
・気温、油温(エンジン温度)が上がると空燃比が薄くなる
傾向があると感じています。
そこで、それぞれの補正がどうなっているか、データを見てみると…
色々と???な感じでした。
まずは吸気温度補正。

縦軸を補正量としましたが、単位はたぶん%。これはエンジン温度、気圧補正も同様と思います。
気温が低い時は空気の密度が上がり、同じ容積の中の酸素分子の量が増える、気温が上がるとその逆で燃料を薄くする必要がある・・・
あってる?
それにしても、なぜ左右のシリンダーで補正量が違うのでしょうか…
そもそもGuzziの縦置きVツインで左右のシリンダーの燃調を変える必要あるのかなぁ…?
直4なんかだと外側の1,4番シリンダーと内側の2,3番シリンダーでキャブセッティングが違うってことも聞きますけどね。
お次がエンジン温度補正マップ。

冷えているときは冷間始動の状態を想定していると思えばいいんでしょうか?
前から疑問だったんですが、なぜチョークが装備されているのでしょうね…
この辺を上手く設定すればチョークいらないと思うんだけどな。
それから高温側って何(どんな効果)を狙って、どういう制御すればいいでしょうかね?
最後が気圧補正。

これをみてびっくり。
0mbarまで補正量が設定してあるじゃないですか。
GuzziなのかMarelliなのかわかりませんが、担当者は月面ででも走らせるつもりだったのでしょうか?
0mbarじゃ酸素もゼロだろう…
日本国内だとたぶん2400m位までの標高の気圧に対応していればいい気がします…
率直に言って、まあー適当だなーというのが感想ですね。
なんか理屈に従った設定がされてる印象じゃないですね…
試作車でちょと適当にいじってこんなもんか、って感じで決めた設定に見えちゃうんだけど…
素人がこんなこと言ったら怒られるかな…
例えば東名高速で静岡に向かって走って、富士山スカイラインを一気に登って下る、帰路は国道1号線の渋滞にハマってエンジンアツアツなんてツーリングでもアイドリングの空燃比がバッチリ安定しているとか、そんな感じにできなかな、と。
もちろん設計の古い空冷エンジンなんで限界はあるでしょうが…
少なくとも、今の設定を見る限りではもう少し追い込めそうな気がします…
素人がこんなこと言ったら怒られ…
まあ、とにかくやってみますかね。
20年前のGuzziかMarelliの担当者より良い仕事できる気がするんだよね…
素人がこんなこと言ったら…
とりあえずこんな感じということで。

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コメント
Re: No title
純正ECUでどこまでイケるのかちょっと頑張ってみますわ。
スムーズすぎて面白くないとか言われちゃうのかもしれないですけどね。
機械としてのベストを探ってみまーす。
2020-05-15 00:21 さばお URL 編集
No title
さばおさんの環境だとMAP吸いだして参照できるってのと、TPS値・AFR値を参照できるので、簡易的なTPS/AFR/燃調モニタを作れそうな予感。
2020-05-14 10:49 gas URL 編集