V11 TPS調整の実験
去年のV11の不調時の改善で最後にTPSとスロットルの同調調整をしたことは記事にしました。
実はTPSの調整について最近気になることがあり、見直しをしています。
いろいろフクザツ系の話になりそうなので、ちょっと記録に残しておきます。
本題に入る前の前説の前説です。
少し長くなりますが、お付き合いくださいませ。
私、V11関係のWorkshop manualを2種類持ってます。PDFファイルで。
ひとつは2002年式のV11Sport用で、もう一つは2003年のV11Sport、Lemans、RossoCorsa、Cafesport、Ballabio用です。
どちらのマニュアルにもTPSとスロットルの同調調整の項目がありますが、手順、内容が微妙に異なります。
例えば、アイドリング時(=つまりアクセル全閉時)の開度とアイドリング回転数は以下となっています。
TPS開度 アイドリング回転数
2002年モデル用 3.6±0.1° 1050±50rpm
2003年モデル用 3.8±0.1° 1100±50rpm
この他、調整後の排ガス中のCOの濃度測定時の油温なども違います。
2003年式は触媒付きなのでその影響と推定しています。
ま、ぶっちゃけどうでもよい差ですね。
それから開度0°時のTPS出力電圧は150mVでこれはどちらの年式も同じです。
TPSと同調調整にはもう一つの情報源があります。
以前にも触れたV11LeMans.comというwebサイトの「TPS Setup and Throttle Balance Tuningのページに手順が詳しくのっています。
https://www.v11lemans.com/forums/index.php?/topic/12204-tps-setup-and-throttle-balance-tuning/
内容は↓の感じ
===================
・バタフライバルブ全閉時に150mVに合わせる
・アイドル時は開度3.5°となる521mVに調整する
・開度とTPS出力電圧は以下のとおり。
Degrees Volts DC
2.9°0.458
3.4°0.511
3.5°0..521
3.6°0.532
3.8°0.553
4.0°0.574
4.1°0.585
===================
自分の意訳ですので、ちゃんと知りたい人は原文を見て頂いたほうがよろしいかと思います。
それから、上記のGuzziのマニュアルではTPSの開度ごとの出力電圧は記載がなく、この情報の真偽は何とも言えません。
開度と電圧の関係はのマニアックな人が自分で調べてV11Lemans.comに投降したのかもしれません。
Guzziのマニュアルによると調整時の開度は診断機を使って電圧ではなく、開度で読むようにっている様です。
僕の場合、以前も書いたようにV11Lemans.comの情報を信じてスロットル全閉時の開度を3.5°/521mVに調整していました。
さて、ここからが本題の前説です。
前回のTPS調整の時に気がついたのですが、ワタクシのV11は
・開度0°でTPS出力電圧を150mVで調整
・アクセル全閉時3.5°になるように521mVに調整
するとアイドリング回転数が1100rpmを大きく超え、1500rpm程度になってしまいます。
マニュアルではこの調整でアイドリングが規定値に入らないときは開度0°で150mVになっているか再確認するようにという指示が記載されています。
ただ、何度か確認してもやっぱり結果は同じになります。
結局、左スロットルボディのスロットルストップスクリューを回してアイドリングを調整していました。
つまり、3.5°より開度が小さくなる方向に調整していました。
ちなみにアイドリングはエンジンが完全に暖まった状態で1050rpm程度になるように調整しています。
一般的にバルブクリアランス、バルブタイミング、多気筒エンジンでのキャブ/インジェクションの同調調整、燃調のセッティングなどの調整が上手くできるとアイドリング時のバタフライバルブ/スロットルバルブの開度は小さくなる傾向にあるようです。
これは一般論的な話ですが、自分のV11もそんな印象でした。
さらに言えばエアクリーナーや点火系もノーマルではないということもあり、「まあ、そんなものか」と思っていたわけです。
ここからようやく本題です。
GW翌週のツーリングでサブコンの再セッティングをしました。
「やっぱスロットル開度0とか5%とか大事よねー」とか思いながら走っていましたが、ふと「開度0%」って何なんだろう?という事に気が付いてしまったのです。
ちょっとややこしいので整理します。
1.バタフライバルブ全閉時の開度は0°でこの時のTPS出力電圧は150mV
2.アイドリング時、つまりスロットル全閉時のバタフライバルブは少し開いています。
調整によって少し変わるけどバタフライバルブの開度でいえば3.5°/521mVとか。
ノーマルECUはこの状態で1100rpmと思って燃料と点火時期を制御しています。
3.サブコンの調整で「開度0°」とか「全閉」という場合は2の状態を指します。
わかります?
今の自分の調整ではアイドリング時に3.5°より小さい角度に調整されていて、それなのに回転数は1100rpmなんです。
つまり、3.5°に調整して1100rpmを目指す → 実際は回転数を下げる必要があり、開度を小さくするっていう手順はノーマルECUからするとおかしな制御になっているのではないか?と。
なんか日本語がヘタですみません。上手く説明できていないかも。
言いたいことは何かというと1100rpm時点でECUに3.5°と認識させないと正しいアイドリング時の燃調、点火時期にならないんじゃないか?という事。
ということで、現状の調整でのスロットル全閉時のTPS出力電圧を確認すると293mVでした。

3.5°/521mVに調整してからアイドリングを調整するとここまで開度戻っていたわけです。
290mVって開度でいったら何度なのよ?ってことでExcelでグラフ書いてみると…

なんと、1.5°切っていて1.4°くらい?であることが分かってしまいました。
あくまでも計算上ですけどね。
ちなみに全開時はこの電圧(これはどうでもいい話)。

つまり、スロットル全閉時、マニュアルの指定と実際はこんな感じになっているわけです。
TPS開度/電圧 回転数
マニュアル指定値 3.5°/521mV 1100rpm
実際の調整値 1.4°/293mV 1050rpm
うーん… これってどうなんでしょうか…
燃調はサブコンで調整するとして、点火時期はずれてしまう気がします。
やっぱりエンジン回転数が1100rpmの時にスロットルバルブの開度を(実際は1.4°だが)3.5°と認識させるために、TPSの出力が521mVなるように調整したほうがいい気がしてきました。
この約2°の違いがエンジンの回り方にどう影響するか?影響あるかもしれないし、影響しないかもしれません。
それを知ろうと思ったらやってみるしかありません。
ということで、開度1.4°の状態でTPSの出力電圧が↓になるようにTPSの位置を調整してみました。

で試走すると…
・・・なんじゃこりゃ・・・
開度15%、3000rpmくらいまでの領域で空燃比が一気に12台前半まで濃くなってしまいました。
時々11台がチラチラと、まれに10台の値が表示されるほどです。
この領域は前回のツーリングのログデータで14台前半で、ブログのコメントで薄いと指摘されたくらいだったのに…
まあ、意識的に薄くしてはいましたが…
もちろん、マップはその時と同じマップですよ。
今回、試走はほんの少しだったので、どちらの調整がいいかはもう少し様子を見ないと判断できないとは思います。
どっちにしてもすごいシビアな調整のようで、思っていた以上に気を使って丁寧に調整しないといけなさそうです。
もう少し走って、結果がでたらまた記事にしようと思っています。
とりあえずこんな感じということで。

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いろいろフクザツ系の話になりそうなので、ちょっと記録に残しておきます。
本題に入る前の前説の前説です。
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ひとつは2002年式のV11Sport用で、もう一つは2003年のV11Sport、Lemans、RossoCorsa、Cafesport、Ballabio用です。
どちらのマニュアルにもTPSとスロットルの同調調整の項目がありますが、手順、内容が微妙に異なります。
例えば、アイドリング時(=つまりアクセル全閉時)の開度とアイドリング回転数は以下となっています。
TPS開度 アイドリング回転数
2002年モデル用 3.6±0.1° 1050±50rpm
2003年モデル用 3.8±0.1° 1100±50rpm
この他、調整後の排ガス中のCOの濃度測定時の油温なども違います。
2003年式は触媒付きなのでその影響と推定しています。
ま、ぶっちゃけどうでもよい差ですね。
それから開度0°時のTPS出力電圧は150mVでこれはどちらの年式も同じです。
TPSと同調調整にはもう一つの情報源があります。
以前にも触れたV11LeMans.comというwebサイトの「TPS Setup and Throttle Balance Tuningのページに手順が詳しくのっています。
https://www.v11lemans.com/forums/index.php?/topic/12204-tps-setup-and-throttle-balance-tuning/
内容は↓の感じ
===================
・バタフライバルブ全閉時に150mVに合わせる
・アイドル時は開度3.5°となる521mVに調整する
・開度とTPS出力電圧は以下のとおり。
Degrees Volts DC
2.9°0.458
3.4°0.511
3.5°0..521
3.6°0.532
3.8°0.553
4.0°0.574
4.1°0.585
===================
自分の意訳ですので、ちゃんと知りたい人は原文を見て頂いたほうがよろしいかと思います。
それから、上記のGuzziのマニュアルではTPSの開度ごとの出力電圧は記載がなく、この情報の真偽は何とも言えません。
開度と電圧の関係はのマニアックな人が自分で調べてV11Lemans.comに投降したのかもしれません。
Guzziのマニュアルによると調整時の開度は診断機を使って電圧ではなく、開度で読むようにっている様です。
僕の場合、以前も書いたようにV11Lemans.comの情報を信じてスロットル全閉時の開度を3.5°/521mVに調整していました。
さて、ここからが本題の前説です。
前回のTPS調整の時に気がついたのですが、ワタクシのV11は
・開度0°でTPS出力電圧を150mVで調整
・アクセル全閉時3.5°になるように521mVに調整
するとアイドリング回転数が1100rpmを大きく超え、1500rpm程度になってしまいます。
マニュアルではこの調整でアイドリングが規定値に入らないときは開度0°で150mVになっているか再確認するようにという指示が記載されています。
ただ、何度か確認してもやっぱり結果は同じになります。
結局、左スロットルボディのスロットルストップスクリューを回してアイドリングを調整していました。
つまり、3.5°より開度が小さくなる方向に調整していました。
ちなみにアイドリングはエンジンが完全に暖まった状態で1050rpm程度になるように調整しています。
一般的にバルブクリアランス、バルブタイミング、多気筒エンジンでのキャブ/インジェクションの同調調整、燃調のセッティングなどの調整が上手くできるとアイドリング時のバタフライバルブ/スロットルバルブの開度は小さくなる傾向にあるようです。
これは一般論的な話ですが、自分のV11もそんな印象でした。
さらに言えばエアクリーナーや点火系もノーマルではないということもあり、「まあ、そんなものか」と思っていたわけです。
ここからようやく本題です。
GW翌週のツーリングでサブコンの再セッティングをしました。
「やっぱスロットル開度0とか5%とか大事よねー」とか思いながら走っていましたが、ふと「開度0%」って何なんだろう?という事に気が付いてしまったのです。
ちょっとややこしいので整理します。
1.バタフライバルブ全閉時の開度は0°でこの時のTPS出力電圧は150mV
2.アイドリング時、つまりスロットル全閉時のバタフライバルブは少し開いています。
調整によって少し変わるけどバタフライバルブの開度でいえば3.5°/521mVとか。
ノーマルECUはこの状態で1100rpmと思って燃料と点火時期を制御しています。
3.サブコンの調整で「開度0°」とか「全閉」という場合は2の状態を指します。
わかります?
今の自分の調整ではアイドリング時に3.5°より小さい角度に調整されていて、それなのに回転数は1100rpmなんです。
つまり、3.5°に調整して1100rpmを目指す → 実際は回転数を下げる必要があり、開度を小さくするっていう手順はノーマルECUからするとおかしな制御になっているのではないか?と。
なんか日本語がヘタですみません。上手く説明できていないかも。
言いたいことは何かというと1100rpm時点でECUに3.5°と認識させないと正しいアイドリング時の燃調、点火時期にならないんじゃないか?という事。
ということで、現状の調整でのスロットル全閉時のTPS出力電圧を確認すると293mVでした。

3.5°/521mVに調整してからアイドリングを調整するとここまで開度戻っていたわけです。
290mVって開度でいったら何度なのよ?ってことでExcelでグラフ書いてみると…

なんと、1.5°切っていて1.4°くらい?であることが分かってしまいました。
あくまでも計算上ですけどね。
ちなみに全開時はこの電圧(これはどうでもいい話)。

つまり、スロットル全閉時、マニュアルの指定と実際はこんな感じになっているわけです。
TPS開度/電圧 回転数
マニュアル指定値 3.5°/521mV 1100rpm
実際の調整値 1.4°/293mV 1050rpm
うーん… これってどうなんでしょうか…
燃調はサブコンで調整するとして、点火時期はずれてしまう気がします。
やっぱりエンジン回転数が1100rpmの時にスロットルバルブの開度を(実際は1.4°だが)3.5°と認識させるために、TPSの出力が521mVなるように調整したほうがいい気がしてきました。
この約2°の違いがエンジンの回り方にどう影響するか?影響あるかもしれないし、影響しないかもしれません。
それを知ろうと思ったらやってみるしかありません。
ということで、開度1.4°の状態でTPSの出力電圧が↓になるようにTPSの位置を調整してみました。

で試走すると…
・・・なんじゃこりゃ・・・
開度15%、3000rpmくらいまでの領域で空燃比が一気に12台前半まで濃くなってしまいました。
時々11台がチラチラと、まれに10台の値が表示されるほどです。
この領域は前回のツーリングのログデータで14台前半で、ブログのコメントで薄いと指摘されたくらいだったのに…
まあ、意識的に薄くしてはいましたが…
もちろん、マップはその時と同じマップですよ。
今回、試走はほんの少しだったので、どちらの調整がいいかはもう少し様子を見ないと判断できないとは思います。
どっちにしてもすごいシビアな調整のようで、思っていた以上に気を使って丁寧に調整しないといけなさそうです。
もう少し走って、結果がでたらまた記事にしようと思っています。
とりあえずこんな感じということで。

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コメント
Re: No title
エアバイパススクリュなんですけど3.5°に調整した後で全閉にしたらアイドリング下がるんじゃないかと期待して全閉にしてみたんですよ。
でもアイドリング回転数にはほぼ影響なしでした。
なので指定通り1/2回転以上開けて同調取っています。
左側が1/2回転開けで右が5/8回転開け位ですかね。
もういっそのことフルコンの方がめんどくさく無いのかもって思い始めてますw
2019-05-28 22:46 さばお URL 編集
No title
エアバイパス(ブリード)スクリュは見ましたか?低開度の燃調には影響してると思います。
TPSの基準電圧は徐々に狂っていくし、リンクも雑な機構だし、うちのなんかファンネルにしてもなんとかなってる状態なので、
個人的には定数はTDC/カムプロフィール/バルブクリアランスで、燃調/進角/TPS/ブリード開度/アイドル開度などは変数だと思ってます。
2019-05-28 16:19 gas URL 編集