V11 純正ECUセッティング変更への道 その5 燃調補正マップ3種の検討

    どうもこんばんは。


    いよいよ緊急事態宣言解除ですね。
    都県境を越える移動は6/19まで自粛とされていますが、何とか先が見えてきました。
    このシリーズも加速させていきたいと思います。
    内容的には重箱の隅を穴が開く寸前までネチネチつつき続けている感じなのでほぼ需要は無い情報と思われます。
    興味無ければスルーでよろしくお願いします。
    V11の純正ECUのダメさ加減を暴露しちゃうような雰囲気になりつつありますが、まあ、事実は事実。
    脚色なし、オブラートなしでいきますw


    前回、純正ECUの吸気温度、エンジン温度、気圧の3つの補正マップを示しましたが、どう考えてもテキトウな仕事にしか見えません。
    今回はこれら3種類の補正の考え方と補正マップの案を固めたというお話です。


    改めてお題目を整理します。
    お題目は「空気とガソリン混ぜて混合気を作って、燃焼室内で燃やす」って行為に対して、空気の温度と気圧、エンジンの温度でガソリンの量を調整しないといけません。どうしたらいいですか?というもの。
    言い換えると一回の燃焼のためにシリンダーに充填される酸素(=空気)の量が気温、気圧、エンジン温度でどんな感じで変わるのか?増えればガソリン増量、少なくなればガソリン絞る訳ですが、その調整量を決めるってことですね。

    遠い遠い過去の記憶をたどると高校の授業で気体の圧力、体積、温度について習ったような気がします。
    それはボイル・シャルルの法則…
    内容はほぼ忘れていましたが、こんな時は数多の素敵なサイトでお勉強。
    こちらがとても分かり易かったです。
    なんか理解したような気になりましたので、早速始めます。
    間違っていたら指摘して下さい。



    1.吸気温度補正
    補正の仕方はシャルルの法則をもとに考えました。
    シャルルの法則というのは 
     気体の圧力が一定の時、 0[℃] の気体の体積を V0 [m3]、セルシウス温度を t [℃]とすると、そのときの体積 V [m3]は
       V = V0 x (273+ t)/273
     となる
    という法則。
    t[℃]の気体の体積は0[℃]時の体積に比例して、その係数は(273 + t)/273ということですね。
    温度の上昇に伴い体積が増えた結果、同じ容積の中の空気の質量(=酸素分子の量)は1/増加量だけ減ることになり、その分ガソリンを絞る必要があるんですね。
    つまり、0[℃]より吸気温度が下がればガソリン増量、上がれば減らす補正になるということ。

    ただ、よくよく考えるとバイクに乗るのに補正の基準が0[℃]って低すぎな気がします。
    (ライダー的に寒いとか暑いではなくて、燃調のセッティングとしてです)
    バイクメーカーは春か秋の気候を想定してキャブレターやインジェクションのセッティングを決めているはずで、そこから真夏から真冬までをカバーするように調整していると思うのです。

    なので今回の純正ECUのリセッティングも同じ考え方で進めることにしました。
    つまり、燃調のベースマップを作る基準の吸気温度を決め、吸気温度補正はその基準の温度からの変化に対して補正量を決めるという考え方です。


    では基準の吸気温度をどうするか?
    すぐに思いついたのが、東京の年間平均気温を使うこと。

    こちらのサイトによると、ここ数年の平均気温は16[℃]台中盤~後半が多いようです。
    また、偶然にも補正マップの分割ポイントに17[℃]という温度があったので、この17[℃]を基準にすることにしました。
    純正ECUは-20[℃]から55[℃]まで補正を掛けているので、0[℃]よりも17[℃]の方がダイナミックレンジ的にもよい気がします。
    これは何の確認もしていない希望的予想ですけどね。


    実際の補正量は前記の係数の式に温度を代入すれば求まります。
     ( 273 + t ) / 273 の分子はt[℃]の絶対温度T[K]、分母は0[℃]の絶対温度273[K]となっています。
    今回は分母を17[℃]=290[K]として、17[℃]基準で体積の変化の逆数をとって質量の変化に変換してみることにします。
    質量の変化分だけガソリンを変化させれば補正できるはず。
    計算式はこんな↓感じ。

     補正量[%] = ( 1 / ( ( 273 + t )/290 ) - 1 ) x 100

    グラブにするとこんな↓感じ。

    吸気温度補正_新


    ん?
    純正オリジナルと比較して温度が高い時にガソリンをガッツリ減らす設定になってしまいました…
    大丈夫かな…
    気になりますが、とりあえずこれでしばらく様子を見てみましょう。
    ちなみに純正の補正は17[℃]~31[℃]まで補正量ゼロの設定になっています。
    ホントに真面目に決めた結果なんでしょうかねぇ…

    それから吸気温度補正を左右のシリンダーで異なる設定にする必要は無いと思いますので、とりあえず左右同じで行きます。
    Guzziに乗っている人、または所有したことある人はわかると思いますが、右シリンダーは左シリンダーに対してコンロッドの幅分だけ前にあります。
    でもこのレイアウトで左右のシリンダーで燃焼の条件が変わることはないと思うんですよね。
    バルブクリアランスや点火系の状態が左右でちゃんとそろっていて、スロットルの同調も取れていれば左右のシリンダーの条件は同じ気がします。
    キャブレターのGuzziで左右でジェッティングが違うなんてこともないだろうし。


    2.エンジン温度補正
    お次はエンジン温度補正で、まずは温度が低い時の制御から。
    エンジン温度が低いとガソリンが気化しにくく、それを見越してガソリンを増量するというのが基本のようで、考え方としてはまあ、シンプルで分かり易い話です。
    問題は高温時の制御で、こちらについてはあまり参考になるような情報は見つけられませんでした。
    少し調べたところ、
    ①高温時、混合気がインテークバルブ周辺から熱を受けることにより体積が増えるので、空燃比を維持するためにガソリンを絞る
    ②高温時、エンジンをガソリンの気化熱で冷却するするためにガソリンを増量する
    のような内容が記載された資料は見つけたのですが、、、
    ①と②は逆のことを言っていますが、前提条件とか目的とかまで確認できたわけじゃないので、どちらが正しいか、どうするべきなのかはちょっとわからないですね。

    なので、エンジン温度の補正は低温時は純正ECUに合わせ、高温時(65℃以上)は補正無にしてみます。
    冬季の始動性は全く問題ないので、こちらは変える必要は無いでしょう。
    純正の補正は温度が上がるに従って少しずつ薄くしていますが、今回、65℃以上で補正ゼロにすることにしました。
    計算で求めた吸気温度補正を掛けた上で①の影響が大きければさらに体積が増えるはずで、そうなれば空燃比は濃くなる方向に振れると予想。
    この設定でしばらく様子を見ることにします。

    エンジン温度補正_新


    3.気圧補正
    さて、最後が問題の気圧補正です。
    これは吸気温度補正以上にオリジナルの設定の意図が不明です。
    何度も書いたように標高が高くなると空燃比が濃くなります。
    つまり、気圧の減少に対して、ガソリンを絞る量が不足しているという事で、これは事実。
    Guzziのエンジニアが何を考えていたか想像で話しても仕方ありませんが、補正としては上手く機能していません。
    お世辞にもまともとは言い難いので、好きに設定してしまいます。


    実際の補正はボイルの法則で考えます。
    温度一定の条件では圧力と体積は反比例の関係になります。
    先の高校物理のサイトの解説によれば

     pV=k

    で、大雑把に言って下記のような関係になるので、
     圧力 0.5  1  2 
     体積 2   1  0.5
    一定の容積に含まれる空気の質量(=酸素の量 )は圧力(気圧)に比例となります。


    気圧と酸素の量が比例の関係とすると補正量自体は簡単に求まります。
    基準の気圧を決めて、気圧が1/2になればガソリンも1/2にすればOKのはず。
    問題は気圧補正の基準と補正を掛ける範囲をどうするか、という事になります。

    気圧は気象条件と標高で決まるので、それぞれの条件を整理しましょう。

    初めに気象条件による変化です。
    これも昔学校で習った気がしますが、1気圧=1013hPaです。
    過去の気圧の最高/最低を調べてみると気圧の最高値についてはここに1083.3hPaが海面気圧世界最高という記載がありました。
    一方、最低値はこちらで昭和54年の台風20号で観測された870hPaだそうです。


    続いて標高です。
    国内の一般車両が通行できる道路で最も標高が高い場所が富士山スカイラインの5合目で標高は2380mだそうです。
    海外では5000m近い標高の峠道もあるようですが、海外移住の予定はないので2400mまでの対応で十分です。

    余談ですが、乗鞍スカイライン/乗鞍エコーラインは2700m超で富士山スカイラインよりはるかに高いのですが、こちらは今は一般車通行禁止です。
    乗鞍スカイラインは過去の自分的ツーリング史の中でも1、2を争う絶景が楽しめる道です。
    大学生の頃はGSX-R400で、就職してからはZX-9Rで何度か走りましたが畳平の駐車場あたりまで登ると本当にパワーが出ませんでした。2ストのTZRやRGV-γなんかがエンジン掛からずに押し掛けをしているのも見かけたこともありました。

    話を戻します。
    気圧補正で対応すべき気圧の範囲を決めないといけません。
    前述の1083/870hPaは海面での気圧で、当然ながら標高が上がれば気圧が下がっていきます。
    つまり、気圧が高い方については中心気圧1083hPaの高気圧に覆われた標高(海抜?)0mの場所が一番高くなるという事です。
    では低い方はどうか?というのをこちらのサイトで計算した結果が下の表です。

    hyou1.png

    厳密には気温も考慮する必要がありますが、ここでは無視して20℃に固定してしまいました。
    標高が100m上がると気温は0.6℃下がると言われています。
     ・標高0mでの気温が17℃、気圧870hPaの時、2500m地点では2.6℃となり、この時の気圧は651hPa。
     ・標高0mで870hPa時、2500m地点の気温が17℃の時は660hPa程度
       →まあ、無視してよいかと。

    実際には870hPaの超大型台風が来ている日に富士山スカイラインをツーリングするなど100%あり得ません。
    あくまでも理屈の上での話ですが、気圧補正は1061~650hPa程度まで対応していればおよそ日本国内での使用条件はカバーできることになります。
    ちなみにオリジナルの補正が1061hPa~0hPaだったので、気圧が高い方は1061hPaをそのまま踏襲しています。

    以上から、気圧補正はこんな感じになります。
    気圧補正_新

    やはり純正ECUの補正はガソリン絞りきれていないようです。



    こんな感じで、なんとなくですが理屈っぽいものを考えて補正量を決めてみました。
    これが正しいかどうかは少し時間をかけていろいろな状況で運転してみないとわかりません。
    とにかく走ってみるつもりです。
    どんなにダメ設定でも簡単に純正に戻せるので、気は楽ですw
    まあ特に気圧補正については純正以下という事は無いと思いますけどね。


    とりあえずこんな感じということで。



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    V11 純正ECUの気圧センサ動作確認とセルモータ回らずを修理した件

    どうもこんばんは。


    GuzziDiagを使いだしてからずっと気圧センサがちゃんと動いていないんじゃないかって気がしていました。
    晴れの日も曇りの日もだいたい見るといるも1026とか1030とかの値が表示されていたんです。

    GW開けて最初の週末、世の中はまだ緊急事態宣言中でしたが人と接触しないつもりで気圧センサの動作確認に行ってきました。
    向かったのは茨城県最高峰、八溝山(やみぞさん)。
    茨城県と福島県の県境にある標高1022mの山です。


    朝、平地(別宅)でGuzziDaigの表示を確認。
    天気は晴で1038hPaと表示されました。
    kiatsu1.png


    出発してからR349を北上、R461でいったん栃木県に入ってから県道K321からアプローチします。
    山頂付近の駐車スペースに到着。なかなか山深い場所です。
    この辺りは阿武隈高地の南端で関東と東北の境なんですね。
    IMG_20200509_120750.jpg



    エンジン切ってGuzziDiagを再接続、確認すると…
    kiatsu2.png

    919hPaと表示されました。標高は982m。
    気圧センサ、ちゃんと動いてました。Marelliよ、疑ってすまん。



    用事が済めば長居は無用ということで帰ろうと思ったのですが、セルボタンを押してもセルモータが回りません。

    …もうね、何年も乗っているのでちょっとやそっとでは驚きません。
    この時は真夏の国道でセルが回らず速攻でレッカーを呼びましたが、今のワタシにとってはセルボタンでセルが起動しないなど何の障害にもなりません。
    なぜならばセルモータのリレーとバッテリを直結してセルを回す技を会得したから。
    車載工具として常備しているショートクリップ(要するに電線)でバッテリとセルのリレーを直結してあっさりとエンジンの始動に成功。
    この後はエンジンを一度も停めずに一目散に帰宅しました。


    帰宅してからチャッチャと準備してチェック開始です。

    リレーは生きているようです。
    IMG_20200510_164652.jpg


    コイツが生きていればあと怪しいのはクラッチのマイクロスイッチになります。
    バラしてみるとスイッチ周りに結構汚れが溜まっていました。
    汚れて動きが悪くなっていたのが原因だったようです。

    こちらはクラッチマスターのマイクロスイッチの取付け部の写真です。
    ちなみにこの写真は掃除後で掃除前は撮り忘れました。
    この黒い部品の反対側がクラッチレバーで押さえられているのですが、レバーを握ると押さえている部分が移動し、黒い部品がフリーになります。
    IMG_20200510_165021.jpg


    黒い部品がフリーで動くようになるので、マイクロスイッチの白い部品が黒い部品を押しながら飛び出します。
    白い部品が飛び出すとマイクロスイッチがON、つまり内部で導通するのでセルモータが回るようになります。
    IMG_20200510_164812.jpg


    クラッチレバーを握らないと黒い部品は写真の位置に留まるために、白い部品が押し込まれた状態となります。
    これがOFFの状態で、セルボタンを押してもセルは回りません。
    IMG_20200510_164803.jpg



    今回の事象は全く掃除をしていない→クラッチを握っても黒い部品が動かない→白い部品が押し込まれたまま→マイクロスイッチがOFFのまま→セル回らずっていう現象でした。
    やれやれ。
    チェックと復旧は1時間ほどで完了しましたが、微妙に時間と手間を取られますね。
    それにしてもこのマイクロスイッチは新車から一度も交換していませんので、そろそろ交換いた方がよいかもしれません。

    クラッチのスイッチの件は余計でしたが、この日のメインのお題目だった気圧センサの動作確認ができて、やる気が出てきました。
    もうしばらくしたら大手を振っていろんな場所を走れると思いますが、その時のためにもセッティングを急ぐことにしますかね。


    とりあえずこんな感じということで。



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    V11 純正ECUセッティング変更への道 その4 純正ECUの燃料/点火制御

    とうもこんばんは。


    結局GWは別宅でひとりぼんやりと過ごしていました。
    ご多分にもれずオンライン帰省なんてのもやりましたが、まあ、それなりに面白かったですね。
    ただ、通話を切った瞬間、我に返って、はぁって感じでしたw


    それにしてもニュースを見ていると今回の件、改めてエライことですね。

    飲食、観光・宿泊業が直撃状態ですが、百貨店、劇場なんかも同様。
    そして鉄道、バス、タクシー、航空会社なんかの旅客運輸の業界もかなり厳しいみたいですね。
    このあたりの業種は毎日移動する人がいなければキャッシュが入ってこない訳で、事業構造的に致命的な気がします。

    次に影響がでるのが製造業でしょう。
    1月の中国を皮切りに世界中で工場が止まってましたからね。
    半導体なんか製造リードタイム4カ月とか6カ月とか普通なので、1月に作るつもりだったウエハを作っていなければ7月とか8月にLSIなんかできない訳です。
    そうするとそれを使う製品の組立ができません。
    厳しいよね~。

    IT系の会社の人の中には”在宅勤務が加速されてある意味チャンスだ”的なことを言う人もいますが、それができる業種ばかりじゃないよなーというのも強く感じました。
    いくらなんでも在宅勤務じゃバイクや車の生産なんて絶対無理ってこと位は理解しているとは思うけど…

    これは冬のボーナスがゼロかもしれないなぁ、とか、来年は税金上がるのかねぇ?とか考えてみたりしていたGWでした。
    ここ数日は新規の感染者数が低めに出ているようなので、このまま収束してくれることを祈るばかりです。
    都道府県別に自粛解除のモードが変わってきそうなのが気になりますが、もう少しということで乗り切るしかないですかね。


    こんな感じで今年のGWはそれなり時間がありましたので、V11の純正ECUのデータを眺めていました。
    実際、今は少しづつデータ書き換えて様子を見始めています。
    これからボチボチトライしていくにあたって、純正ECUの中身をまとめておきます。
    以下、TunerProで開いたbinファイルの内容を確認した結果と一部推測含めた現状の理解です。


    ■IAW15RCの基本機能
    燃料噴射時間と点火時期の制御が基本の機能です。当たり前ですけど。
    制御は一般的にα-Nと呼ばれる方式で、スロットル開度(α)-回転数(N)を軸としたマップにインジェクターの噴射時間や点火時期を設定してあります。
    運転時は、その値を読み出すことでインジェクターのON/OFFや点火回路を制御します。

    その他はO2センサの入力とか吸気温度、エンジン温度、気圧の測定と測定結果による補正の機能ですね。
    これらは主に燃料噴射時間の補正に使われています。


    ■燃料噴射制御
    燃料噴射時間は基本の噴射時間に各種補正を加味し決定しています。
    多分こんな↓感じになっています。

    1.燃料噴射の基本設定
    スロットル開度-エンジン回転数の2次元マップに基本の噴射時間が書き込まれています。
    ちなみにマップはスロット開度16分割、エンジン回転数16分割の16x16。
    RapidBikeと比べるとスロットル開度の分割は細かくて回転数は粗い感じですね。
    そして左右のシリンダーそれぞれ独立の設定とすることが可能です。
    ただし、マップは左シリンダー用のマップと右シリンダー用のオフセットマップの2つ。
    右シリンダーの噴射時間は左シンダーのマップからのオフセットで決めているみたい。

    2.燃料噴射時間の補正
    下記の補正機能があります。

    (1)Acceleration Enrichiment Map
    加速補正です。
    燃料マップと同じスロットル開度-エンジン回転数のマップに増量値が設定されている。
    (2)Airtemperature trim left / Air temperature trim right
    吸気温度補正で左右のシリンダーで各々設定可能。
    (3)Engine temperature Map
    エンジン温度補正。
    (4)Barometric Correction Map
    気圧補正。
    (5)Lambda Control
    O2センサのクローズドループ制御のON/OFF設定で、ワタシのV11では既にOFFにしてあります。
    クローズドループ制御が悪いわけではないと思いますが、このECUでは目標の空燃比が設定できないのが気に入りませんw
    (6)Start Enrichment
    始動直後の燃料増量補正です。
    エンジン温度-始動後のエンジン回転回数のマップで増量値を決めています。
    エンジン回転”回”数というのがわかりにくいですね。
    設定値が0revs~3984revsまでの16分割になっています。
    このことからエンジン始動後4000回ほどクランクが回る間、増量補正が有効になっているのかな、と理解しています。
    アイドリングを1000rpmとすると4分くらい増量補正していることになります。
    ちなみに実際に乗りながらAF計を見ていると確かにこんな制御になっている感じはしますね。
    (7)COTrim
    低回転/低開度で燃料を絞る機能のようです。
    こちらのみEEPROMの中の設定項目です。
    事前の情報ではキャタライザ無モデル用のECU(IAW15M)ではON、有り用のIAW15RCはこの機能はOFFという情報があったのですが、ワタシのV11はこの機能がONになっていました。
    設定としてはON/OFFと補正量の2つがあるのですが、どの回転数でどの程度補正が掛かるかなどの詳細は不明。
    こちらもOFFにしています。


    ■点火時期制御
    点火時期は燃料噴射時間ほど複雑な制御にはなっていません。
    Igunition Map、Ignition Idle Mapの2種類の設定があります。
    Ignition Mapは燃料マップと同じスロットル開度-エンジン回転数のマップに点火時期が書き込まれています。
    Ignition Idle Mapはよくわかりません。何からの形でアイドリングを検出してるんでしょうか?
    もうちょっと調査が必要です。

    *********************************


    ECUの中身が触れるようになったわけですが、その最大の目的は点火時期の最適化です。
    ただし点火時期については何を指標にどう設定してたらよいのか皆目見当がつきません。
    ノウハウゼロなんですw

    よってひとまず燃料噴射の設定についてサブコンでは触れない項目からいじってみようと思っています。
    具体的には吸気温度、エンジン温度、気圧の3つの補正マップ。

    これまでの経験でこのECUは
     ・標高が上がって、気圧が下がると空燃比が濃くなる
     ・気温、油温(エンジン温度)が上がると空燃比が薄くなる
    傾向があると感じています。

    そこで、それぞれの補正がどうなっているか、データを見てみると…
    色々と???な感じでした。


    まずは吸気温度補正。

    吸気温
    縦軸を補正量としましたが、単位はたぶん%。これはエンジン温度、気圧補正も同様と思います。
    気温が低い時は空気の密度が上がり、同じ容積の中の酸素分子の量が増える、気温が上がるとその逆で燃料を薄くする必要がある・・・
    あってる?

    それにしても、なぜ左右のシリンダーで補正量が違うのでしょうか…
    そもそもGuzziの縦置きVツインで左右のシリンダーの燃調を変える必要あるのかなぁ…?
    直4なんかだと外側の1,4番シリンダーと内側の2,3番シリンダーでキャブセッティングが違うってことも聞きますけどね。


    お次がエンジン温度補正マップ。
    エンジン温度

    冷えているときは冷間始動の状態を想定していると思えばいいんでしょうか?
    前から疑問だったんですが、なぜチョークが装備されているのでしょうね…
    この辺を上手く設定すればチョークいらないと思うんだけどな。

    それから高温側って何(どんな効果)を狙って、どういう制御すればいいでしょうかね?


    最後が気圧補正。
    気圧
    これをみてびっくり。
    0mbarまで補正量が設定してあるじゃないですか。
    GuzziなのかMarelliなのかわかりませんが、担当者は月面ででも走らせるつもりだったのでしょうか?
    0mbarじゃ酸素もゼロだろう…
    日本国内だとたぶん2400m位までの標高の気圧に対応していればいい気がします…


    率直に言って、まあー適当だなーというのが感想ですね。
    なんか理屈に従った設定がされてる印象じゃないですね…
    試作車でちょと適当にいじってこんなもんか、って感じで決めた設定に見えちゃうんだけど…
    素人がこんなこと言ったら怒られるかな…

    例えば東名高速で静岡に向かって走って、富士山スカイラインを一気に登って下る、帰路は国道1号線の渋滞にハマってエンジンアツアツなんてツーリングでもアイドリングの空燃比がバッチリ安定しているとか、そんな感じにできなかな、と。
    もちろん設計の古い空冷エンジンなんで限界はあるでしょうが…
    少なくとも、今の設定を見る限りではもう少し追い込めそうな気がします…
    素人がこんなこと言ったら怒られ…

    まあ、とにかくやってみますかね。
    20年前のGuzziかMarelliの担当者より良い仕事できる気がするんだよね…
    素人がこんなこと言ったら…



    とりあえずこんな感じということで。



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